マッサージの治癒効果 ~1/3~
外的刺激がもたらす治癒効果
医学学術誌「Science Translational Medicine」でこの度、発表された論文では、マッサージを行った際の治癒効果とそのメカニズムが細胞レベルで詳しく説明されているものでした。
論文によるとマウスを使う実験においてマッサージは従来から言われているような回復を早める効果だけではなく、筋肉をより強化することができることが明らかになったと論ずられています。
「マッサージをはじめとするメカノセラピー(機械的療法)が身体に及ぼす有益な効果については、多くの研究者が研究しようとしてきました。
しかしながらこれまで体系的かつ再現性のある方法で実施されることはなかったのです」
と、ハーバード大学ヴィース研究所のソ・ボリ博士は説明しています。
研究チームは、ハーバード大学バイオデザイン研究室のソフトロボティクス専門家と共同でマウスの手足にかかる力を監視・制御する小型装置を開発した。
装置はマッサージガンのように作られておりシリコン製の柔らかい先端を使いマウスの筋肉を刺激するものとなっている。
実験では脚を損傷させたマウスの筋肉に対し、2週間一定の間隔・強度で繰り返し力を加え、超音波での画像データを用いて様々な負荷をかけた時の組織の『ひずみ』の量を予測・検証した。
すると治療を受けた筋肉では損傷した筋繊維の減少がより顕著に見て取れ、筋繊維の断面積も大きくなっていた。
つまり、マッサージ治療を受けた筋肉は、受けていない筋肉に比べ早く・強く回復したということだ。
2週間の期間で比べたところ、マッサージ治療を受けた筋肉は受けていない筋肉に比べて約2倍の速さで再生し、組織の瘢痕化(損傷した繊維が残ること)も減少したという。
『マッサージの治癒効果 ~2/3~』に続く